TVジョジョ第2部オープニング映像から作画ネタをほじくり出す


プリキュア3DCG記事のヒットに調子をぶっこいて
TV版ジョジョの第2オープニングの3DCGネタで
またしてもアクセスを稼いでやろうという
実に汚い魂胆で書き始めたこの記事でしたが、
ジョジョの第2OPは
そんなゲロ以下の臭いのする欲望
消し去ってしまうほどの
熱い心意気高いクオリティを備えていました。


スマイルプリキュアのエンディングダンスから作画ネタをほじくり出す - 批評家もまた批評さる
ちゃっかり宣伝
プリキュアのEDダンス変遷の陰にあるアニメ会社のCG表現への飽くなき探求 - GIGAZINE
ちなみによそではこんな記事も出てました。↑


素晴らしい映像作品に心洗われて
賢者モードになったところで、
具体的にどこが熱くてどこが高クオリティなのか語っていきたいと思います。

ほとばしる名作リスペクト

まあこのオープニング映像では実に色んなところでぶったまげたのですが、
座布団から垂直に飛び上がって死にそうなほど驚いたのがこのカット。



はい、プリキュアのときも言ってましたが言わせてください。
「これ、手描きじゃねーのかよ!?」


CGの技術については筆者はサッパリですので
スト4のムービーみたく、CGモデルの輪郭の全体に
手書き風のエフェクトが出るよう設定してあるんだろうなー、
とかなんとか想像するしかありません。
代わりにこのような映像を作ったスタッフさん方の意図について語りたいと思います。


筆者がこの鬼エフェクトの神砂嵐を見て
思い出したのはコンバトラーVの超電磁スピンだったんですが、
まさにこの手描きの効果線風なエフェクトは、
70年代アニメの荒々しいタッチ強烈にリスペクトしたものだろうと思われます。

くっ!画像検索力がたりない!


まあ、そのような70年代アニメをリスペクトして作られた
より以後のアニメでも作画のタッチを生かした演出は連綿と受け継がれてますんで、
そちらへのリスペクトという可能性もあります。


知ってる範囲で並べてみました(小学生)


荒々しい線の表現の他にもリスペクト感がにじみ出てます。
例えばこれ。

静止画だとわけがわかりませんが、柱の男たちの身体が
うねるように画面の中を動き回って度肝を抜くカットです。
これを見て思い出したのはこのへん。

なんだか怪しい画像ですが許してください。
金田伊功氏の作画による、亡霊のオーラがうねりまくるカットです。
これらを似たものとして
「金田作画リスペクト!」とか言うつもりはありませんが*1
極端なディフォルメや物体の変型をいとわずかっこよさを追求する
ジャパニーズ手描きアニメの姿勢へのリスペクトは確実にあると思いますよ。



金田系作画との共通点は物体の変型以外にもいろいろあります。

冒頭に貼ったカーズ様の輝彩滑刀が放つ金田光はわかりやすい意匠ですが、
手描きアニメでも相当浸透して半ば常識化してきたので、特筆するほどではないかもしれません。




左はパンチ、右はキックの瞬間。
動きの合間に大胆なディフォルメや、一見するとつながりの悪そうな絵
一枚ポンと入れておくあたりも金田系っぽいかと。

このスパッタリング風のカットなんかは完全に平面という感じで
3DCGでやる意味あんのかな?(笑)とか言いたくなりますが、
この一瞬があることで見事に迫力が生まれてますので黙っときます。

こっちは本家金田。
人物がムチをふるった瞬間、でっかいエフェクトが一瞬だけ現れます。


さらに細かい話をすると、
画面切り替えの表現にも金田(というか山下将仁氏?)系なエフェクトが。


画面をまっすぐな線で区切らずに、あえてザクザクっと切れ目のようなものを
入れたり、丸っこく変形させたりしてるんですよね。
画面切り替えではないんですけど、こういう描き方は金田(山下)系の
エフェクトでよくあるかなーと。


まとめると、一見してわかる意匠、一瞬だけで目立たないけど
地味に効果を上げてる意匠など、はしばしに金田・山下系のマインドが見て取れる*2
ということだと思います。

理解不能に陥る密度感


ちょっと蛇足ですが、
人物が変形し、手描き風の効果線がつき、CG風の煙エフェクトが加えられ、
ところどころにスパッタリング風の効果が入り・・
トンデモナイ画面の密度になっている三人の柱の男の
必殺技のカット。
これを見て個人的に思い出したのは
森久司氏が手掛けたグレンラガンの合体シーンでした。


まあこちらは金田作画とは違って
共通点もクソもないのですが、グレンラガンの合体シーンでも
珍しい処理の光の嵐や、筆で描いたように荒々しく飛び出る手足、*3
手描きのタッチを残しつつ画面に巻き起こる細い竜巻状のエフェクトなど
新しいアイデアがいくつも渦を巻いていて、
「一体何が起こってるんだ!?」と理解不能に陥らせる密度感
ジョジョの第2OPと共通してるなーと思うのですよね。


そして、この密度感から溢れる「すげーもん見せてやるぜ!」という情熱が、
筆者の浅はかな欲望を完全にぶちのめしたのでした。

お遊びまで含めてハイテンション

おまけとして、こんな検証画像もありました。
ジョジョOPコマ送りして見たらスタッフ結構遊んでた
とくに80年代のアニメに多いイメージなんですけど、
コマ送りしないとわからないくらいの一瞬のカットに
スタッフさんの隠しメッセージとかぼやきが書かれてるアレが
ジョジョにもあったわけです。

拡大してよーく見てみてください


最近のアニメはぜんぜん見てない怠惰な筆者ですので
今でもこういうお遊び文化が生き残ってるかはわかりませんが、
もうかなり珍しいのではないでしょうか。
このようなお遊びからも、情熱を注ぎまくって楽しみながら作ってる感じが
伝わり、実にアツいです。燃え尽きそうです。

まとめ

当初は3DCGと手描きアニメを比較して理屈をこねようとか考えていましたが、
そういう低次元な考えをぶっ飛ばすほどに
ジョジョの第2オープニング映像はエンタメ性に溢れてました。


ただ、このオープニングでやっていることは
すべて手描きでも代替できてしまうんじゃないか?とかいうことも気にかかります。
3DCGの技術力を追及して海外と競り合って・・というタテマエもありますが、
やはり「3DCGでこそできて、手描きでは決してできなくて、かつ超カッコイイ映像」が出てこないと
視聴者としてはもろ手を挙げて喜べないかなー・・と。


実はそういうシーンがジョジョのオープニングにすでに存在していて
筆者が気づいてないだけかもしれないのですが。
とりあえず、柱の男の必殺技ラッシュのエフェクト重ねまくった画面密度と、
手描きアニメのハーモニー効果なんかとはまた違ったディテールをまといながら
絵柄、服の細部、デッサン的タッチ等々を崩すことなく動き回るジョセフとシーザーなんかは
「3DCGでこそできる(手描きだと不可能じゃないけど苦しい)映像」
なのかなーと思いました。
おわり。

*1:前述の通り、リスペクトが再リスペクトを次々生んでるのでそういう言い方はもうできないのかなーと

*2:スタッフさんが意識してたかはわかりません。笑

*3:この表現は昔とある作画オタク様が使っておられたもののパクリです