エヴァQの重箱の隅をつついて楽しさを見出すポジティブキャンペーン

はじめに。
本記事はエヴァQの強烈なネタバレを含みますのでご注意ください。














さて、世間では
エヴァだとか新劇場版ナディアだとか
アゴだとか散々なことを言われているエヴァQですが、
筆者もご多分に漏れず
微妙な表情で劇場から出てきた一人です。

入る劇場を間違えたかと思ったよママン


「破」とは打って変わっての鬱展開と作劇上の矛盾の嵐
巷ではなんとか説明をつけようと有志の方々ががんばっていらっしゃいます。


しかし皆さん。庵野カントクのこの発言を思い出してください。

神崎のナナメ読み: 庵野秀明 in トップランナー【3】
庵野「当時は、そうじゃないですかね。僕自身、哲学を知らない
んですよ。あまり哲学的なことはやっていない、今までも。
エヴァはそういう風に云われてますけれど、
あれは哲学じゃなく"衒学的(げんがくてき)"なんですね

庵野「よく知らないけれど、こういう言葉を使っていれば
賢そうに見えると云う・・・(観客の薄ら笑い)。
それがエヴァですね。(後略)

ぼくはこの発言を思い出すたびに
はげしく脱力します。
とにかく、庵野カントクからこのようなお達しが出てるわけですから
エヴァに関して、設定やキャラの発言の細部を
検証することはあまり意味がないと言わざるを得ません。


しかし、今回Qに関して大騒ぎになっているのにはもうちょっと
別な理由があって、それは
「何か理由があるのではないかと思わせるほど本筋がつまんない」
ってこともあると思うんですよね。

エンタメ要素にキレがない

今まで
実写風のヒューマンドラマとか、
東宝怪獣に対して超科学作戦で人類が迎え撃つシーンのアニメ版とか
文句なしにかっこいいメカとかわいいキャラ
あと
ウルトラマンのパクリとかで
本筋を手堅く固めつつ、サイドメニューとして謎要素や
不可解な設定が用意されてきたのだと思いますが、
今回の本筋要素は、
完成度80%で現れたような微妙感をかもし出しています。
腐ってやがるとは言いませんが、
皮だけ生成されなかったような違和感。

皮がないと痛いんだよー


これはまったくの推測ですが、
東日本大震災の後、脚本を書きなおした」
という噂が流れてきていることから考えて、
「破」以上に遅れた段階でストーリーを作り直した*1ために
制作スケジュールがひっ迫したのではないでしょうか・・?
その結果、
メカデザイン、戦闘アイデア、演出のそれぞれを
練りこむ時間も十分とれず、それがこの本筋の「微妙感」
につながってるのではないかと・・。

やっとつっつく

はい、いつ重箱の隅をつつくんだよ
という感じですね。ここからつっついていきます。


エンタメ要素が微妙なあまり、「明るいイデオン
ならぬ「明るいエヴァQ」予想外に語呂がいい
としてキャンペーンを打たないとやってられませんのでがんばります。


まずヴンダーです。
この名前、どうにかならなかったのでしょうか。
衝撃のあまり、「ヴィンダー」とか「ヴァンダー」というように
多少なりともかっこいい響きに脳内補完するファンが続出しているほどです。
デザイン面でも、ダサカッコイイメカが好きな筆者も
「それはねーだろ!」と椅子から飛び上がって空母に着艦しそう
になった強烈なデザインです。
3DCGの強みを生かして、アニメーターさんにお願いしたら
死人が一人や二人じゃすまないディテールを誇っていますが、
全体的にみるとゴテゴテしててイマイチ。ただ、重箱の隅としては
吹っ切れたかのようにそびえ立つ三基のパラボラアンテナがポイント高い*2です。
この異次元感というかアンバランス感は
昭和後期ウルトラメカを思い出させます。

まあ自分で考えたんじゃなくて
庵野カントクが最近タロウの素晴らしさについて語ってたことが多かったからなんですが*3
「今回は後期ウルトラデザインで行こうぜ!」
って話があったんじゃないかなあ。
不必要なまでのボリューム感、ゴージャス感が近いように思えます。


ほら、だんだんエヴァQメカに違和感がなくなってきたでしょ?



ヴンダーの後部先端には、グレーと黄色のカラーリングの
摩訶不思議なパーツがくっついていますが、
これはウルトラメカか、マイティジャック号を模したようにも見えてちょっと笑えます。


そして新エヴァの数々。
とくに8号機の頭部に顕著ですが、ここでも
ZATラインが出てます。
庵野カントクが言うところの「甘美な曲線(?)」(記憶があいまいです、すいません)
というやつです。
エヴァMark.9のマント状ブースターの独特な形状もこれだと思います。
あとエヴァ13号機。
「パーツを二倍にすればいいってもんじゃ(略」とぶつぶつ言いたくなりますが、
このへんの「パーツが二倍だからパワーも二倍」的な安易さも
古き良き特撮をオマージュしたのでは・・って、すいません、
強引すぎましたね。

さらに細かいネタ

細かいネタですが、ヴンダー浮上時の戦闘で出た
「飽和攻撃」という単語はヤマト完結編にもあるようです。
オマージュかな?


リツコさんがミサトさんに危機的状況についてまくし立てる
のはもはやお家芸と化してますが、
今回「さらに」「おまけに」という既知のテクニックに加えて
「とどめに」という新技が出てきて笑いました。


ナディアネタについては、
公開前に予告映像に映ったエクセリヲン風の宇宙船を見て、
「今回はナディアネタが来るんじゃねーか?」とか笑いながら
語っていた頃が懐かしいです。
まさか巨大戦艦の登場とBGMの再使用とは。
剛速球の直球ど真ん中で、受け取る側としては
吹っ飛んだ上にフェンスにめり込みそうです。


あと、冒頭6分の戦闘は素晴らしかったですね。
劇場版はTVオンエア版と微妙に違いがありますし、
大音響であのシーンを楽しめるというのは価値のあることだと思います。
まさかあのシーンが映画の中で最高のクライマックス
だとは思いませんでしたが。

まとめ

まあそういうわけで
明るいエヴァQキャンペーンを試しに始めてみたわけですが、
一人でやってるとすごくつらいです。オラに元気を分けてくれ!って感じです。


つらく険しい道のりですが、次回作の公開まで
明るいエヴァQキャンペーンは細々と続けたいと思いますのでよろしくお願いします。

*1:「破」の記録全集にも、制作がかなり進んでから方向転換したことが書いてあります

*2:まあイージス艦とか現用兵器にもゴテゴテとパラボラアンテナがついてたりしますけど・・でもアニメメカでこのデザインはやっぱり異形ですよ!

*3:特撮博物館内の展示、円谷特撮の企画DVDコメントなど各所で語られてたように思います