ガルガンティアと似てるアニメについて考えてたら古典的作劇法にたどりついたでござるの巻


おお、珍しく漫画原作とかじゃないアニメを楽しめている!
とかアニメを見ることそれ自体よりも
それを見てるオタクな自分を保守できていることに喜んでいる
ブログ主ですこんにちは。


いや、冗談はさておき、ガルガンティアが普通におもしろいので
色々語りたくなっております。
今回のとっかかりはオトナアニメvol.29です。

オトナアニメ Vol.29 (洋泉社MOOK)

オトナアニメ Vol.29 (洋泉社MOOK)

この本に監督さんのインタビューが載ってるんですが、
ガルガンティアはいろんな人に(いい意味で)
『○○というアニメに似ている』と言われる」
ということをおっしゃってました。
自分が昔見て好きだったアニメを思い出させるような
楽しさが、ガルガンティアにはあると言ってもらえて嬉しいとのこと。


いやこれまさにぼくが感じてたことそのまんまなんで、
誰しも抱く感想は同じだなあと自分の凡夫っぷり
ちょっとイヤになったりしましたが、
この
「いい意味で既存のアニメに似ている」
という視点で考えてみたところ、
エンタメの普遍的楽しみポイント≒古典的作劇手法
みたいなのに行き着いたので書いてみます。
なお、注意していただきたいのは、皆さんが読んでいるのは
具体的にそういう物語(あるいは世界観)づくりが
手法として広く認められているかとかそういう裏取りは
一切してない毎度のクソブログですよという事。
富野監督に言わせたら
このブログを読んではいけません!!って感じだと思います。

既存のアニメと似てるところ=普遍的楽しみ


タイトルのガルガンティアとは巨大な都市船団の名前ですが、
この寄せ集め都市のビジュアルは個人的にキングゲイナーのドームポリスを思い出しました。
ドームポリスの画像がありません、スイマセン
で、こういう寄せ集め都市のカオスなビジュアルってのはスチームパンクに源流があるのかなと。

しつこいですが裏取ってません。
普遍その1:心地よいゴチャ感ですね。


ちなみにガルガンティアのゴチャ感はマニアックに走ることなく、
ストーリーを邪魔しない適度な塩梅だと思います。
例えて言うと「一昔前の日本製RPGくらいの薄いスチーム感*1」。
すいません微妙ですね。



ワイヤーで保持されてる凧型メカなんかはラピュタですかね。
あとはユンボロイドの作業用機能(まだあんまり出てませんが)、
海賊の女王様のユニークユンボロイド(他にも出てくるのか期待)などなど。
こういう近代程度のメカでギミックの楽しさを見せるっていうのも普遍だと思います。

普遍その2。


あとは
サルベージ商売、前文明の残存技術の再利用、水没惑星などのSFギミック。

これらはアニメでも大変広く使われてるので新鮮味は少ないですが、
これら一つ一つをウリにしてるというよりは、やはりいい塩梅の存在感で
ストーリーを邪魔せず、かつそのストーリーが面白いというのが素晴らしいかと。
このギミックが普遍3


そんなSF的ギミックの中でも
異文明の視点によるありふれた常識の再確認、再発見、新鮮な名付け
というネタが使われてますが、これはかなりアニメでは希少じゃないでしょうか。
毎度ぼくの狭い観測範囲での話なのでアレですが。



生物の死骸。特使。などなど翻訳のさいにチェインバーの発する言葉の一つ一つが
いい塩梅に(こればっか)ズレていて滑稽味があります。
ズレとは喜劇の基本。
ガルガンティアを論ずるときによく、漫画「ヒストリエ」の名言
「文化が違う!」が使われてますが、
文化が違う事それ自体よりは、チェインバーさんのズレた翻訳でオトしてる感じですね。
言語に違いがあることをなし崩しに終わらせるのでなく、
あくまでもチェインバーの翻訳を通すことを徹底*2し、
主人公の言語習得までひとつのドラマにしてるのも好感持てます。


この翻訳ネタは笑いだけじゃなく、相手が何を言いたいか推し量っている感覚、
外人さんとのコミュニケーションを疑似的にやってるような楽しみもありますね。

異文化コミュニケーションで普遍4。


しかし、これら普遍的作劇法?をただくっつけただけでは
エンタメは作れない・・と思います。
富野監督(のせいにしているわけではありませんw)がよく言っておられる「今、この作品を作る意味」みたいなやつです。
仮に「当世力(当世風、今風を感じさせる力)」とします。

当世力を担う核

ガルガンティアでいう
当世力を担うポイントというのは、
チェインバースマホではないかと。



オトナアニメのインタビューにて、チェインバースマホをイメージした」
と語られています。


チェインバーと主人公との関係を普遍手法に当てはめると、
人工知能とのバディものみたいな感じかと。
このような人工知能(ロボット)との共存*3
ネタは古典的ではありますが、
チェインバーさんの万能感、スマホに似た感覚は確かに新しいと思います。



チェインバースマホさながらの翻訳、地図、提案などで
主人公を無機質に、しかし献身的にサポートしてくれるさまは、
バディというよりは執事、よきブレイン、忠実な部下みたいな感じですかね。
堂々巡りですが、やはりスマホっぽい」という表現に戻ってしまいます。


既存の相棒ものに登場するAIたちよりも、(舞台が未開文明なのも相まって)
なんでもできる万能AIという印象が強く、
さらにインタビューの言葉を借りるなら、
未開の見知らぬ土地で、唯一頼りにできる存在として、この
スマホ感」が生み出されてるんでしょう。


この感覚は新しいと思います。
ここが新鮮味の源であり、「当世力の核」ではないかと。
スマホがいいとか悪いとかの話でなく、
「今、こういうことってあるよなあ」と思わせることが、
エンタメを新鮮に楽しませる技、なのかもしれません。
あんまり現実とのリンクを露骨に出しすぎると、
エセ社会派アニメ、とかゆって叩かれちゃったりもしますが・・ゴニョゴニョ。


と、いうわけでガルガンティア
普遍的・古典的技法のコンビネーションに今風のスパイスを適度に乗せた、
まことにいい塩梅(今回こればっか)なアニメだという結論に至りました。


・・なんか明日から「塩梅くん」っていうあだ名がクラスに広まりそうで怖いです。

*1:ゼノギアスとか、ワイルドアームズとかバンピートロットとか・・

*2:この意見はツイッターのフォロワーさんから無断拝借しました、スイマセン

*3:海外でいえばロボットとの対決のほうがポピュラーかも