シン・エヴァンゲリオンの映像や元ネタで思ったことメモ(ネタバレあり)

見てきました。
ストーリーは各所で考察されてるのでひとまず置くとして、
映像表現や元ネタ関係で色々と言いたいことがあるので
メモ的に書いてみます。

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お互いにエヴァを駆っての親子喧嘩のシーン。
裏宇宙だか何だかで特殊な空間にいるため、
シンジくんの記憶をもとに形成された思い出の場所で
戦うことになるわけですが、
ミサトさんの酒が山と積まれたダイニングや
中学校の教室でエヴァが戦うのはシュール過ぎて笑った。
す、スケール感が完全に狂っている…

下記の記事でも言われてましたが、
この辺のシーンはエヴァという素材を使った大喜利みたいな
趣きになっており(なんだか銀魂感がすごい)、
庵野監督によるエヴァのセルフオマージュなのだという説。
映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」ネタバレあり感想解説と評価 庵野が本作で達成した、隠れた補完計画とは? - Machinakaの日記

ウルトラマン宇宙戦艦ヤマトなど、数多くのオマージュを捧げた庵野が、
自身の作品をセルフオマージュした、という解釈である。

そして、この行為こそがエヴァンゲリオンを終わらせるための
唯一の処方箋だったのだろう。

自作をオマージュすることで「過去のものにする」というか、
客観視して区切りをつけるみたいな感じでしょうか。
使徒エヴァのパーツをごちゃ混ぜにして作ったメカが
敵味方問わず沢山出てくるのもその一環かな。

用語の面でも
アナザーインパクトやらアディショナルインパクトやら、
インパクトのバーゲンセール*1セカンドインパクトの凄みも
薄れてしまいました。
過剰なセルフオマージュによって、
「敢えてメッキを剥がして観客を夢から覚ます」
という作業だったのかもしれません。
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それにしてもエヴァは実は東宝のスタジオ
(しかも特撮的に意味のあるスタジオを意識しているそうな)で
撮影していた特撮ドラマでした!という設定を作って、*2
エヴァ使徒は着ぐるみで、
メカはピアノ線で釣ってたんです!
こういう世界線もあるぞすごいだろみたいな展開は…
庵野監督やりたい放題やりすぎだろ…
ってちょっと白目剥いちゃいましたよね。
(まあピアノ線はQの時点でめちゃくちゃアピールしてましたけど…)
長かった10代の終わり、エヴァが想い出になった日。(『シン・エヴァンゲリオン劇場版』感想 ※ネタバレ注意)|祥太|note

そしてミサトさんの部屋を建て込んだセットの壁をぶち破って見えたものは、
「№8」と書かれた備品。ああ、そうか。ここはかの円谷英二監督も愛した
聖地・東宝砧撮影所の第8ステージなんだ。わたし達が今まで見てきた
エヴァは、ここで撮られていたんですね。嬉しいな……。

↑それに気づく筆者さんもすげえよ…

いやーそうかそうか、
予告見て
「初号機と十三号機のバトルもっさりしてない…?作画大丈夫?」
とか心配してましたけど、
エヴァの着ぐるみにアクターさんが入って演技してるんだから
実際の人間みたいなもたつきがあって当然なんだよな!
ミニチュアちゃんと固定してないから派手に吹っ飛んじゃってたな!
という納得が…
できるわけねーだろ(笑)
説明がついても変な絵面は変な絵面のままなのですが、
「まあ特オタの庵野監督だし…」
で無理矢理納得することにします。

ていうか、今までアニメだと思ってたものが
実は役者が演じるドラマでしたっていうネタ、
古くはトップをねらえ!でもやってましたねそういえば。

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コクピット内のモニターが割れて蛍光灯が見え、これが作られたセットとわかるというメタ演出

旧劇場版でも舞台装置を写したりしてたし、
今回のラストも役者が駅を飛び出して現実の世界に向けて
走っていくというものですが。
やっぱり庵野監督は「幕末太陽傳」がやりたかったのでしょうか。
幕末太陽傳 - Wikipedia

このラストシーンは、脚本段階では、佐平次は海沿いの道ではなく、
杢兵衛に背中を向けて走り始めると墓場のセットが組まれている
スタジオを突き抜け、更にスタジオの扉を開けて現代(昭和32年)の
街並みをどこまでも走り去っていくものであった。
(略)
アニメーター・映画監督の庵野秀明が『新世紀エヴァンゲリオン』制作中に
「『幕末太陽傳』をやりたかった」と各媒体でたびたび語っている。
なお、テレビ版最終回で実写のスチル映像が紛れ込んだり、
「もう一つの可能性」と称してまったく雰囲気の異なる学園ラブコメになり
その最後がアフレコ台本で終わるのも、『幕末太陽傳』のラスト、
そして川島の積極的逃避哲学から庵野が影響を受けた結果であるという。

あとは「ヤマト作戦」のこととか。
まさにそのものズバリ…
もうヤマトパロだということを隠す気もなくなってきたようです。
まあ最後だし許してやるか…(何様?)

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あと、艦隊戦のあたりで鳴り始めたBGMが
ヤマト感すごかったんですけどあれはパロディなんでしょうか…
気になります。サントラ欲しい。
(追記)
ちょっと調べたら「惑星大戦争」のBGMらしいじゃないですか(笑)
趣味全開で笑う。
youtu.be

あと、さよならジュピターの主題歌も流れてましたけども。
youtu.be

「本編は駄作だけど、主題歌(BGM)はすごく良いんだって!
 これだけでも聞いてみてよ!」

的な、質の悪いオタクみたいな薦め方するの
やめてほしいんですけど…
と思ったけど庵野監督はずっと前から質の悪いオタク*3でしたね。



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予告にもありますけどATフィールドがゴムみたいに伸びて
砲撃を受け止めるカットいいですよね…
ATフィールドを一部に集中させるシーンもあったけど
マクロスのピンポイントバリアっぽかったですね。
弐号機のミサイル一斉発射は板野サーカス以来の伝統芸ですが、
あえて爆発やミサイルを幾何学的に配置して
整然と並んだ模様のように見せるやり方は
新しいですね。
今回もバトルシーンは新鮮なアイデアが詰め込まれていて楽しめました。

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あとこのカットのあたりなんですけど。
予告で見ると3DCG感丸出しやな…大丈夫?
って感じだったんですけど
このあとのアスカとマリが向き合って喋るあたりで
CGなのに手書きの1コマ作画みたいな動きをしてる
カットがあったんですよね。
(いわゆる『ぬるぬるした動き』と呼ばれるアレ)
CGのレンダリング技術なのか、
CGの上に手書き素材を重ねたのか詳細はわかりませんが、
新鮮さを感じる映像で良かったです。
ラストカットの実写映像に通行人の動きをトレース
したと思われるアニメキャラが混じるカットも
あまり見ない表現で面白かったですね。

逆に謎のチープさを感じたのは
エヴァンゲリオンイマジナリー関連ですかね…
なんかすごくCGがしょぼく感じたんですけども。
妙にリアルな造形の顔だけが
映像から浮き上がってるような感じで。
意図的なんでしょうか?
個人的にはこれ↓を思い出してしまいました(笑)
youtu.be

以上取り留めなく書き連ねてまいりました。
作品の内容はともかく、
好きな作品を何でもかんでも入れ込めて
羨ましいな…という感想が先に来てしまいます(笑)
結論としては
「売れた作家は好きにオマージュができる、
みんな売れる作家になれ」

という感じでしょうか(きっと違う)。
とりあえず公開直後のメモとして取り急ぎ。

*1:サイヤ人の王子もお嘆きです。

*2:TV版の時点でドラマなんだという匂わせはしてましたけども

*3:別にこれは悪口じゃなくて、妙にコアな作品を選んでくるけど好きな理由がしっかりしてて反論しづらい的な愛すべきオタクのイメージです