シンゴジラは祭りである(※ただしこの祭りに参加しても楽しめるとは限らない)


シンゴジラ、売れてるみたいですね。よかったですね。
ぼくは公開前は「極端な鬱展開でさえなければ」「いきなりイメージ映像とかにさえならなければ」
などと非常に失礼なことを思っていましたし、
公開初日に見てからでさえも
「うわ〜〜〜これは面白いけど一般受けはしない!ゴジラは死んだ!!神様〜〜!!」
などと一人憔悴し、
ヤフー映画のレビューに根拠のない5点満点をつけて
「売れてほしい、どうかたくさんの人に見ていただきたい」
などとレビューでも何でもない祈祷行為を働いていました。


それがこの大ヒットですので、正直非常に驚いております(当事者であるかのような発言


なぜあのようなピーキーで前衛的な(後述します)内容にも関わらずこのようにヒットしているのか。
結論から言うと「開き直って作られた映画だから」
ということになるのではないかと思います。
もっと言うと庵野監督の人徳によるもの」ということになります。


ふざけてませんのでどうか終わりまでお読みください。

庵野監督の開き直り

実写映画を作ると非常にアレだという評判の庵野監督がゴジラを作るということで、
公開前は果たしてマトモな出来になるのか?というレベルの心配をされていたシンゴジラですが、
ふたを開けてみればある程度嗜好が合致する観客からすれば普通に楽しめるであろうと思われる
映画になっており、拍子抜けというか安心しました。


では庵野監督がシンゴジラでいきなり実写監督としての技量が上がったかというとそういうわけではなく、
庵野監督の実写における技量を適切なテーマ設定により適切な方向に割り振った
ということなんだと思います。



まあ要するに宮崎駿氏が庵野監督に対して言った
「お前はメカ以外はてんでダメだなー、人物は丸チョンで描いとけ!」
というやつでして、
まったくの推測ではあるんですけど、
庵野監督の
「(実写においては)メカ背景戦闘描写に偏重し人物描写は独特な面白さはあるが固い」
という手持ちの武器から逆算して、
「こういう内容なら強みが生かせる」と思えるテーマ設定をしたのではないかと思わされるんですよね。


しょーじき言って冒頭の手持ちカメラの映像からしてカルト映画感プンプンでしたし、
モブが棒読みなのはともかく閣僚などメインキャストの演技でさえも「固いなー」
と感じるシーンはありました。


しかし、それが半端な固さではなく、
観客置いてけぼりで法律の内容をすごいスピードで検討する官僚とか、
キャラクター個人への感情移入は狙っておりません!と言わんばかりの早口と早いカット割り、早い展開、
「見やすいアングルとか実写の作法とか知らんから!好きなアングルでやらせてもらうで!」という声が聞こえてきそうな
開き直った説明的なアングルの中に混じる実相寺なんとかさんみたいなアングルなど
突き抜けた固さだったのが、
「スーパーヒーローではない一般の人たちがやけにならず、冷静に淡々と仕事をこなして勝つ映画」
という内容にマッチしたため、
万人向けには仕上がりませんでしたが、
庵野監督の強みであるバトル、破壊、メカ描写との一貫性を保ち、
まとまった映画として完成したのではないかと思います。

カルト映画なのに、なんで売れたのか

まあそんなわけで、
シンゴジラは一点突破のテーマ性に懸けた
独特な風味の映画に仕上がってますので、
名作、大作よりは奇作、怪作といった表現のほうがしっくりくる
相当に人を選ぶ映画なのではないかと思うのですが、
ではなぜそんな変わった映画が売れているのか。


それは「お祭りだから」じゃないかと思うんですよね。


今回のシンゴジラで改めて感じたんですけど、
庵野作品というのは「よくできた作品」では決してなく、
「イビツだが一部ものすごく光るものがある作品」なんだよなぁと。
だから好き嫌いが分かれますし、
いいにつけ悪いにつけ、強烈な印象を残す。
何か言いたくなる。話題になる。
どうも庵野とそれを見た奴らが大騒ぎしている。
あの祭りはなんだ?俺も参加させろ!
という吸引力というかサーキュレーターというか、
そういう力があるんだなーと思わされました。(ただし主催者のメンタルが調子のいい時に限る)


たぶんそういうことなので、
シンゴジラのヒットは(まあ映画のヒットって全部そういうものなんだろうけど)
祭りの吸引力で引き寄せられた人々のお金であり、
楽しめた人と、楽しめなかった人のお金が合わさったものであろうと思われます。

おまけ

あとはおまけです。


ゴジラの放射熱線についてですが。

もう何が何でも意地でも特撮効果音を使いたいという
執念を感じる映画*1である
シンゴジラですが、放射熱線については素直にいけば1種類しか効果音が使えないところを
出力可変式にしてパワーが上下するごとに効果音を変えるという
頭のおかしい素晴らしい発想で効果音を複数使うことに・・
もとい、新鮮な熱線描写で観客に驚きを与えることに成功しました。
この効果音、低出力時はゴジラシリーズのものとわかるのですが、
高出力時の高い音はオリジナルなんでしょうかね?
ネット上では、○○の時のものだ、なんて説もありましたが。
検証がめんどくさいので皆さまのご意見お待ちしております。


んで、この放射熱線、これまでのシリーズと違い、火炎放射器を思わせる描かれ方でした。
庵野監督と火炎放射器で思い出すのは旧エヴァ・・じゃなくて「沖縄決戦」です。
沖縄決戦はエヴァイデオンと並んで手軽に臨死体験ができる素晴らしい映画ですので、
「へー庵野監督ってそんなに火炎放射器が好きなんだ、どんなのなのかな」
などと気軽に見てはいけません。


今回のゴジラは災害そのもの、恐怖の権化みたいな扱われ方だったので、
最高にエグい恐怖の放射熱線が必要とされたことは間違いなく、
そんなエグさを求められるシーンで出てきたのが火炎放射器だったので、
やはり庵野監督にとって最高にエグい攻撃方法は火炎放射器なのかなーなどと
思ったわけなのでした。


あとはいつものデンドン(BGM「DECISIVE BATTLE」のバリエーション)についてですね。

ハマる人にとっては非常に盛り上がるBGMである一方、
まーたデンデンドンドンか、手抜きか!
と、賛否両論なこのBGM。
サウンドトラックCDで作曲者の鷺巣氏もそのことに触れ、
「毀誉褒貶を覚悟してでもこの音楽をぶつけてくる、まさに庵野監督の名人将棋」
名人戦棋譜をなぞる中毒性」
というようなことを書かれています。
デンドンマニアの方はよくご存じでしょうが、
今回のデンドンは流用ではなく、ちゃんとシンゴジラ用にアレンジを変えてあるものです。
ぼくのウォークマンにはデンドンフォルダがありますので、
エヴァTV、序、破、Qの各アレンジと今回のを合わせると
もはや小一時間くらいはデンドンしていられるんじゃないかと思います。
うれしいです(報告

*1:沖縄決戦とか見てると、「うわーシンゴジラの効果音がいっぱい使われてるぞー」というトリップ感を味わえます(ヤバイ

『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』


おなじみの死ぬほど脈絡のない作品選定です。
2000年代初めのドラえもん映画のオマケ同時上映作品だった
Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』です。

Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン! - Wikipedia
パーマン』の映画作品のひとつであり、2003年公開の『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン』の続編となる平成シリーズ第2弾。原作の「鉄の棺おけ突破せよ」をベースにした作品[1]。原作のハードなシーン(4号への拷問シーンなど)を感じさせないほど、全く別の作品に仕上がっている。

4号への拷問シーン・・嬉しくねぇな(ボソッ

作画




まぁこの作品はとにもかくにも作画です。
終盤の佐々木政勝氏の手によるものとされるパートは一見の価値ありです。


・・とか得意そうに言ってますが、
実際は自衛隊描写が子供向けとは思えないクオリティと評判の
1作目を見たかったけど、
レンタルになかったので適当に2作目を借りただけだったりします。


・・佐々木政勝いいよね!!


まあ冗談はさておき、佐々木氏は非常に技量の高いアニメーターでいらっしゃるようです。
爆発MADもあり。

ぼくの印象だと『のび太の恐竜2006』の時にネットでプロモ映像が流されたあたりから
「どうもドラえもん映画は作画がすごいらしい」という評価が高まったような覚えがあります。
このMADによれば有名な翼竜のシーンも佐々木氏の手によるもののようですね。



ハッキシ言って佐々木氏のパートと思われる終盤までは
作画的にもお話的にも手堅いけれど突出したものはなくて
ちょっと見てるのがだるかったんですが、
終盤にかけて尺がなくなったのか
「ブーストポッド作動。エンジン臨界点までカウントスタート」
と言わんばかりの盛り上がり*1を見せます。

なんの脈絡もなく現れた大艦隊の攻撃により、敵メカは爆発炎上し始めます。

全人類を支配してしまう洗脳メカの中枢を叩くため、パーマン1号が特攻、生還!
そして爆弾でもあるメカ中枢を大気圏外に捨てるためそのまま上昇!
みたいな。


この流れで1〜2分くらいしかないんですよね。
作画がすごい上にお話も大きく動いてるので濃縮感がものすごいです。
あとどうでもいいですけど
画像にもあるように対空ミサイルの描写が異様に克明で怖いです。
1作目もミリタリー描写がしっかりしているそうなので、
これはスタッフさんに熱心な方がいるのかもしれません。

太一郎ゾーン


これはキャプチャ画像では伝わらないのでどうしようもないのですが
悪役の声が広川太一郎氏です。
これだけでわかる方はわかると思いますが、
氏のアドリブ(なのかシナリオ通りなのか・・)満載の演技ぶりのせいで
もはやパーマンじゃなくてただの広川アニメになりかけてます。
あれはあれは、いや、これはこれは、申し遅れました」
とか終始こんな調子です。
広川ファンの方は是非。

まとめ

佐々木作画ファン、広川ファン、
そして終盤に詰めに詰め込んだ巻き展開のアニメが好きだという方におすすめできるアニメです。

*1:というかほんとにちょっと尺がないゆえの急展開っぽいんですよねえ・・

密度の高いカーアクションが楽しめる―『ライディング・ビーン』―


大丈夫です、生きてますよ。
更新途絶えた後にまた流行りもクソもミソもないネタですいません。
「ライディング・ビーン」です。
選定理由は特にありません。
数年前にカーアクションが見どころのアニメを探していたら
行きついたようなおぼろげな記憶が・・


まあそんなことはどうでもいいので
遠慮なくブログ執筆のリハビリテーションとして利用させていただきます。

ガンスミスキャッツ - Wikipedia

ライディングビーン

ライディング・ビーン [Blu-ray]

ライディング・ビーン [Blu-ray]

学研刊の月刊誌『アニメV』1988年9月号から1989年2月号まで連載された高橋昌也の小説『CRASH CHASE』の挿絵コミックとして掲載され、1989年にOVA化された。

運び屋ビーン・バンデットの活躍を描いた『ガンスミスキャッツ』の前身ともいえる作品で、ラリーが白人(本編ではインド系英国人を父に持つ有色人種)であったりビーンとラリーが相棒であるほか、パーシー警部の愛車がフォード・マスタング・マッハ1からシェルビー・コブラGT500(本編におけるラリーの愛車)に変わっているなどの相違点がある。

「ガンスミスキャッツ」はアフタヌーン誌上で流し見したことはあるものの、
ぼくはとりたてて原作のファンでも作者様のファンでもなく、
ぶっちゃけこのアニメはブログのエサとして視聴しただけだったんですけど、
いや、まあそのー、普通におもしろかったです。
内容については
「バイオレンスとエログロ要素が強め*1シティーハンター
という説明でおおよそ見当がつくんではないかと思います。

おはなし


なんというか全体的にアメリカンです。
まあアメリカ(?)が舞台だから当然なのかもしれませんが、
セリフ回しやキャラクターの行動原理が完全にB級ハリウッドアクション映画のそれです。
画面がまごうことなき国産アニメなのに、
小粋なジョークとか派手にぶっ壊れる車とか銃器の描写がやけに丁寧とか
やってることが完全にコマンドーとかそのあたりのノリなので脳が混乱します。


なにしろ上に挙げた画像の警官のセリフが
「当たってもかまわん!尻を押さえてトレーラーとのサンドイッチだ!」
ですからね。国産アニメではなかなか聞けません。
まあ原作がそういうところを目指してるから
必然的にこのアニメもそうなってるだけなんでしょうけども。

このシーンでいえば、人質と犯人の会話として
「気分は?」「よくないね。最悪だ」「マスタードはつける?」「ああ、たっぷりとな」
とか。
人質が減らず口叩くあたりもなんかアメリカン。

あとは立ち寄ったガソリンスタンドの設備の微妙な寂れ方とか、
姉ちゃんがローラースケートでオーダーを取りに来るレストランとか、
アメリカにいかにもありそうだと思わせる描写がいいですね。


個々の要素のクオリティがびっくりするほど高いわけではありませんが、
「海外刑事ドラマ風」という統一された世界設定がちゃんと機能してるとこは
大変好感持てます。

作画

作画はショボイところはショボイですが、
良いシーンは果てしなく良いです。以下原画陣。

 大平晋也  山中英治 岩滝 智  橋本敬史 
 北島信幸  清水義治 中尾圭一  長谷川浩司
 津野田勝敏 菅野宏紀 宇佐美俊和 奥田 淳
 冨沢雄三  菅沼栄治 大河原晴男 岸田隆宏
 生亀信幸  田中達之*2


本作で個人的に一番ビビッときた作画がこちらです。
静止画だと全然わかりませんが、大量に投げつけられたグレネードが
物理演算されたかのように個々に動いて軽やかに舞うんですよね。


この後主人公は急ブレーキをかけ、グレネードは画面手前に置き去りにされ、
直後に空中爆発、という一連のアクションになっており、大変素晴らしいです。

どーでもいいんですけどそのグレネードを投げた悪役のおっさんが
画面奥で地味に芝居してますが、動きがものすごく「AKIRA」っぽくて笑えます。
大佐の横にいる例の博士にしか見えません。

OVAの面目躍如というか、TVアニメで飛ばされがちな細かい描写もナイスです。
シフトチェンジをしっかり描写してくれるアニメは貴重ですし、
車載カメラっぽいアングルも新鮮で面白いです。
撃たれるシーンは大概肩とかですが、本作だと耳を撃たれたりしていて
リアル感出てます。痛みのあまり思わず耳に手が行ってハンドルを放してしまう
一連の動作になってますが、この作画も地味にスゴイです。

アクションの組み立て(殺陣)


本作は作画がいいこともさることながら演出もしっかりしてます。
上のシーンだとトレーラーが急ハンドル切りつつ加速したあとに一気にブレーキを踏んだ結果、
トレーラーの後部が横に振れて体当たりとなる、という一連の動作になっていて、
アクションに説得力があります。*3

他にも車を使った殺陣が行われるシーンがありますが、ドアの扱いとか、
車を使う必然性がちゃんとあって面白いですね。
ちょっとこれ以上書くとネタバレだらけになりそうなので控えますが、
他にもアクションにひとひねり入ってるシーンがいくつかあるので
ぜひご自分でご覧ください。

まとめ

冒頭にエログロと書きましたが、グロは80年代OVAにありがちな
ゲロゲロのダボダボって感じでもないですし、
エロも添え物程度の扱いなのでほとんど違和感なく見れるんじゃないかと思います。
アクション映画とか海外刑事ドラマとか好きな人におすすめです。
オチはないです。リハビリなのでゆるしてください

*1:多分エログロが強めなのはあくまでOVAという商品の性質によるものであって原作はそんなでもなかった気がするんですけど。

*2:毎度おなじみ載せるだけで触れない原画リストです。検索のお役に立てば・・!

*3:なんでこういう操作をすると体当たりできるのかは車に詳しくないのでわかりませんが(笑)。とにかく説得力があることはわかります。

【Gレコ】富野監督には3クールあげるのが一番いいのではないか説


Gレコが各地で盛り上がったり
盛り下がったりしているようですねこんにちは。
ブログ主としても
「おもしろいんだけど・・うーん」
な感じなので、その理由を考えておりました。


で、先に結論から申しますと
尺が足りてねえよこのアニメ、
ってことなんですよね。


いやもちろん全6話で尺が短すぎて
会話がぜんぶ世界レベルの曲芸みたいになってる
リーンの翼とかほどじゃないですが。

そうでもあるがー


仮に、世界観の理解難度、登場人物の行動理由の理解難度、
感情移入の難易度とかをまとめて
視聴者の体感スピードと表しますが、
Gレコを視聴してる体感スピードとしては、
「各要素はそれなりに楽しめるし理解できなくもないが、取りこぼしたり
使い捨てられている要素があることも確実に感じる」
というあたりで、
同じ2クール(全26話)アニメである
ブレンパワードキングゲイナーに近いんですよね*1

こまけぇことは考えないほうがいいのかもしれない


富野監督に2クールでアニメを作らせると
どれも同じような出来になるという
スーパー当たり前な事実
なわけですが、もうちょっと辛抱してお読みください。


じゃあ何クールあればいいんだよという話ですが、
ブログ主としては3クール(39話前後)だと思うんですよね。


打ち切り前提じゃねーかとお怒りのみなさん、
どうかお静まりください。
ここは市井のクソオタクの居酒屋トークを書く場所なのであって、
カリオストロの城にもっとスケジュールがあればさらにいいものになった筈だとか
1stガンダムがたっぷり4クールあったら蛇足感が出て自爆したと思うのよねとかいう
野球ファンのおっさんの独自理論と大差ない与太話を
君たちは聞きに来たのではないのか!スコードォー!
ということなんですよ。

とりあえず叫んどけば誤魔化せる


すいません、取り乱しました。
さて3クール適切論の根拠ですが、
それはそのまんまというか、富野アニメの中で
(およそ)3クールのアニメである1stガンダムイデオン
世界観など諸々の説明をしつつ、説明くさくない程度にストーリーも動かす
というちょうどいい体感スピードだからってことなんですよ。


一方で
富野監督にまるまる4クールあげてしまうと、
今度は尺が余ってしまって
「スライド作画でやる気なく戦闘して、お話的にはあってもなくてもよかったような回」
が量産されてしまうのでよくないと思うんですよね。
さりげなくサンライズ様に消されそうな発言ですねコレ。


たとえばGレコの10話でいえば、
(1)お偉い方の策謀

(2)敵側の事情

(3)ブリッジ強襲など今回の戦闘シーン(殺陣)の目玉要素

(4)味方キャラ間のドラマ

(5)戦闘シーン

(6)舞台の転換

というおよそ6要素が入ってると思います*2


このうち(1)策謀、(2)敵、(4)ドラマについてはまあこんくらいの尺を取って
描かれてもいいかな、くらいの感覚で、
過去の4クールの富野アニメでもよくあった配分かと思うのですが、
(3)の戦闘の目玉については完全に2クール尺のアオリを受けて使い捨てられた感があります。


今回の敵役は戦闘狂タイプかと思いきや、
いちおう立場を考慮してブリッジクルーとの交渉に入る、
でも態度としてはすげーテキトー(たぶんはやく戦闘したいだけ)、
みたいな面白いキャラで、
ここのブリッジとの攻防や
周りのアタフタする様子なんかで1話使ったら面白いのになー
なんて思ってしまうのですが。


(5)の戦闘シーンについてはやや増量ぎみでサービスしすぎじゃないカナー
とか思いますが、まあ誤差の範囲なので割愛します。


さてここまでで個性的な敵キャラと敵味方の新メカ、密林という舞台設定
1話で巻き気味に消化しているわけですが、
この密度の話で最後に(6)の舞台転換が来ます。


ここで主人公たちが移動する経緯や設定については
ちゃんと台詞で説明してあるから理解しろ、
という意見もまあわかるんですけど、
やはり体感スピードとしては「えっ、もう!?」
な感じがぬぐえません。


また居酒屋トークになってしまいますが、
3クールないし4クールのアニメであれば、


「敵の戦闘狂と新メカ登場、ブリッジをめぐっての攻防。
 戦闘内容は敵味方ともに顔見せで終了。」

まずこれで1話あって、続いて
「戦闘狂再来、味方の新アイテム本格稼働、敵撃退。
 この間に舞台転換(宇宙)の事情が描かれ、ラストで宇宙へ」*3

というもう1話がある、みたいなちょうどいいスピードなんだろうなー
とか思ってしまうんですよね。


まあ「たられば」の話ばかりで
まさに不毛な居酒屋トークではあるのですが、
こういうことを考えてしまうのが人情というところでしょうか。


実際3クールアニメというのは放映面でも映像ソフト面でも中途半端ですし、
商業上の理由で難しいんでしょうね。*4
1stガンダムイデオン
本来のドラマ2クール+異様な展開を見せるおまけの最終1クール
みたいな感じで内容的にも変わっていて面白いと思うんですが*5


ところで
「ザンボット3は2クールなのにわかりやすい問題」*6
とかもあるんですが、
これに手を出すと泥沼なのでやめておきます。
スコード!!


とかく、富野監督のやりたいことが多すぎるわりに
尺が短いので巻き展開になりがちな2クール富野アニメですので、
「面白いんだけど、あのキャラもう退場かよ」
「こいついきなり出てきて変わりすぎだろ」
みたいなことが起きがちな2クール富野アニメではありますが、
みなさん「このキャラはきっとこうなんだ」という脳内補完をたくましくして
乗り切ってまいりましょう。


スコード!!!!!!!*7

*1:キングゲイナーでいうとヤッサバの不完全燃焼感とか氷の湖に沈められちゃってあとからちょろっと出てくる人とか。

*2:細かい設定とかはブログ主が全然追い切れてないので割愛します。という逃げ。

*3:例えば「密林は暑くてヤダなー、はやく宇宙に行けばどうのこうの」みたいな会話でさりげなく事情を説明するとか。

*4:1クール×3期分とかいうパターンはすでにあるのかもしれない・・

*5:いつ打ち切られてもおかしくないという制作上の緊張感も関係してるかもしれません。

*6:たぶんおもちゃ番組としての設定素地がスカスカなところに富野のこだわり設定を差し込んだらボリューム的にちょうどよくなった、とかではないかと思うのですが。

*7:気に入っちゃったみたいなので許してあげてください

キルラキルでやってる少年マンガ的バトルはオリジナルアニメにおいて大変貴重!・・かも


今回はうまい冗談が思いつかないので
いきなり本題ですこんにちは。


キルラキルを見ていて、バトルシーンに
少年マンガ的戦法」がちょこちょこ出てくるなーと感じてます。


序盤のバトルが基本的にパワーでゴリ押しだったので、
やっぱりオリジナルアニメはバトル描写を練り込む余裕がないのかなー、
バトル解説役も必要だし解説させるにも尺がいるし、
2クール以上のボリュームがあるマンガ原作もののようにはいかないのかなー」

なんて半ばあきらめながら見てたのですが、
ところがぎっちょん、四天王との対決あたりからイカス描写が出てきています。


まあ、本作は(半ば?)公式に「男塾」や「炎の転校生」など
往年の少年マンガや名作アニメのオマージュ作品であると
明言されてますので、「少年マンガ的戦法」が出てくるのは
当たり前なのかもしれませんけど。

少年マンガ的戦法」の定義

「そもそも少年マンガ的戦法って何やねん」とお思いの皆様、ご説明します。


  
なんかえらくピンポイントなとこを選んでしまった気もしますが、
左が「ダイの大冒険」のアバンストラッシュクロスで、
右が「ジョジョの奇妙な冒険」第2部にて、主人公の策謀により、
片腕を吹っ飛ばされてしまって泣いてるエシディシさんです。


ジョジョのほうは最近アニメにもなりましたし、説明はいらないんじゃないかと。
気づかれずに作戦を進めていた主人公の頭脳プレーみたいな感じです。
「ダイ」のほうも、
他に最強必殺技(ギガストラッシュ)があるにもかかわらず、
状況に対してより有効と判断した地味なこの技をあえて使い、敵の弱点を突いて頭脳プレーで勝利したのが印象的です*1


まとめると「少年マンガ的戦法」とは、
パワーや物量でゴリ押しするのではなく、「知恵で勝つ*2みたいなことですかね*3


で、少年マンガ(あるいは青年マンガ)が原作のアニメだと
当然のことながら原作の時点ですでにこういう「知恵で勝つ」バトル描写が
たくさんあるので、アニメでも知恵勝ちバトルはたくさん見られます。


一方で、原作なしのオリジナルアニメだと、
こういう知恵バトルがあんまりないような気がするんですよね・・


・・すいません、完全な印象論です。
ソースもクソもない思いつきでひどすぎるので、書き直します。


キルラキルのバトルは基本1対1であり、知恵勝ち要素も
わかりやすく描写してくれるので少年マンガのように楽しめる


うん、これなら矛盾は少なく叩かれることもないでしょう。

具体例

さて、毎度の神経症的エクスキューズが済んだところで具体例です。



第2話、テニス部とのバトルにて。
手持ちの武器に現地で改造を施して戦うというのがちょっと少年マンガっぽく、
もっと言うと富野アニメっぽい(後述)。
まあこれは戦法というよりは殺人テニスという一連のお笑いネタの一部のような気もしますが。



第6話、猿投山との初戦にて。
主人公が自らのバトルスーツ(神衣)を裂き、その破片をまとわりつかせて
猿投山の視覚を封じ、バトルに勝ちます。


 
第9話、蒲郡とのバトル。
外からではあらゆる攻撃を吸収してしまう蒲郡のバトルスーツに対し、
「肉斬骨断」ってな感じで
あえて捕らわれて自らのバトルスーツを変形させ、内部から粉砕する主人公。



第10話は知恵バトル満載でした。
Aパートでは、光学迷彩を駆使する敵に対し、主人公は
「どこにいるんだかわからねえなら闘技場丸ごと吹っ飛ばす」
どっかの霊界探偵みたいなことを言いながら
巨大に変型させたバトルスーツで敵を粉砕します。


 
Bパートでは、空を飛びまわる敵に対して自分は飛行能力がないというピンチに
スクランダー・・じゃなくてまたしてもバトルスーツを変形させ、
スーツの繊維で作ったワイヤーとアンカーボルトを使って
敵を空から引きずりおろします*4



さらには、場外リングアウト負けになりそうになると、
その場でバトルスーツを飛行形態に進化させて切り抜けるムチャクチャぶり。
「戦いの中で成長している!!」が売りの少年マンガの主人公たちも真っ青です。


まあ、最後のは知恵バトルというよりは
「身近な人の死でパワーアップ」に類するご都合展開のような気もしますし*5
他のものも全てバトルスーツの恩恵
本人の努力や事前の備えがあるわけでもないので説得力としては薄い*6のですが、
奇抜な戦法を繰り出す根源となる反体制で一本気な精神力こそがこの主人公の強さと考えれば
まあオリジナルアニメならかなりイケてるほうではないかと。


さらに、これ以後もちょくちょく知恵勝ち要素が登場してます。

左が15話、中央が20話、右が21話です。
15話ではバトルスーツからの出血を目つぶしとして使ってました。
20話ではマントを敵にからませて捕まえてましたね(結局ヌイには効かなかったけど)。
21話ではサツキ様自らオトリとなり、敵をおびき寄せて叩く!
という戦法を披露してくれました。

で、富野アニメ

こういう
オリジナルアニメで知恵バトルを豊富にやってくれるアニメといえば、
そう、富野監督のロボットアニメです。


まーた富野信者の説伏が始まったかとお嘆きの皆さん、
後半でもうちょっと一般的な話にまとめますのでどうかお静まりください。


まあ要するに
「ブログ主が知ってる範囲で、
キルラキルみたく原作なしのオリジナルアニメで、
バトルに知恵や機転がたくさんあってイケてるアニメ」
というのが富野アニメだったってことなんですけど*7


富野アニメといっても色々ありますが、
選ぶのがめんどくさい・・じゃなくて
有名で分かりやすいものとして、1stガンダムを取り上げます。

ランバラル戦より。盾を目くらましにして上空から奇襲というのが
少年マンガライクな決め技でナイスです。

ランバラル残存部隊とのバトルより。
防御と攻撃を同時にやる!というのも実に少年マンガ

シャアズゴック戦より、盾ごしに敵を狙い撃つシーン。
これ以外にも盾を投げつけたりとか、盾持ちのガンダム
伝統的にナイスなバトルを見せてくれますね。


あと、富野アニメのバトルについては
他ブログでも書いてる方がおられました。
勇者ライディーン3クール目の富野コンテ後編 36話はエヴァとラーゼフォンの元ネタ - 旧玖足手帖-日記帳-

太陽を背にして、上空に居て見えない敵に向かってミサイルを撃って、太陽の中から撃ち返されるというのが富野っぽいなー。

投げた岩をライディーンと間違えた敵が撃って、その隙に移動したライディーンがミサイルを背後から撃つってのが躍動的ですよね。

特徴的な戦法を使って襲ってくる敵というのもそうですし、
石などで陽動をかけるというのも定番ながらよいバトルのスパイスです。


このようにいくつか例を上げてみると、これらの演出というのは
単に少年マンガ的というよりは、
戦闘シーンを含むエンタメ全般に宿命づけられている
「バトルをマンネリ化させないスパイスの引き出し」
と呼ぶべきなんだろうなーと思えてきます。
そのような引き出しの中で、とくに
主人公の機転や知恵をよりどころとするものを
少年マンガ的と呼ぶべきかもしれません。


キルラキル少年マンガ的な要素として
知恵バトル友情でパワーアップ!をやってくれてるので
あとはリュウコちゃんの「努力」を示す秘密特訓のパートとかあればなー、
というのが惜しまれるんですが、
やはり尺が足りないんでしょうかね・・ないものねだりでしょうか。

まとめ

さて、オリジナルアニメにおける
知恵バトルのよいところをまとめると、

オリジナルアニメの知恵バトルは、原作つきアニメに比べて
先の展開が読めない分スリリングであり、
また尺の都合や作劇上の制約(少年マンガによくいる解説役を置けるような作風でない等)
により、冗長な説明や描写をしない(できない)
ことで、生粋の少年マンガ戦法とはまた違った爽快感が楽しめる。

というような感じでしょうか。
文字と絵でバトルを描写できる少年マンガや、
長大な話数でバトルを描写できる少年マンガ原作のアニメと比べると
展開が急だったり内容が薄かったりするのは否めませんが、
上記のような魅力もあると思います。


そういうわけで、富野アニメをはじめとした
オリジナルアニメのバトルでいいのがあったら是非お知らせください。


今回はまさかの投げっぱなし他力本願ジャーマンでオチます。

*1:画像のシーンとは違うような気も・・曖昧ですいません。

*2:ジョジョの話題なんかで「頭脳バトル」と呼ばれることもありますが、頭脳だとインテリっぽすぎるので、バカっぽい主人公にも適用できる「知恵」がいいんじゃないかと・・

*3:少年マンガのお約束というと「友情でパワーアップ」とか「身近な人の死でパワーアップ」とかあるので語弊がありそうですが、今回はこの定義で。

*4:画像がないんですが、ワイヤーは猿投山との初戦でもすでに使ってましたね。

*5:代償としてのちに暴走してるのでご都合すぎるというほどではないですが。

*6:少年マンガでいう特訓パートでも筋トレや模擬戦闘など物理的なものはなく、鮮血との問答で心を整理して「吹っ切れる」という精神論メインなのがちょっと残念。

*7:あとはあき○ん先生が富野アニメはキャラの強さの序列がはっきりしてて少年マンガっぽいと言ってたこともあり。

逆襲のシャアの戦闘シーンは具体的にどこがどうかっこいいのか言語化計画(長い)

毎度世間のオタクトレンドと隔絶した
マクー空間を形成している本ブログですが、
また性懲りもなく時期外れのネタです。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャアです。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [Blu-ray]


なぜ今、逆シャアなのか・・?
理由は特にありません。
シャアにも
「これはナンセンスだ!」と言われてしまいそうな時期の外れ方であります。


実は以前、ツイッター上で逆シャアがちょっと盛り上がったことがあったので
自分の中では逆シャアブームがちょっと再燃してるんですよね。心底どうでもいい
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』OPの作画監督クレジットについて - Togetter


で、自分が逆シャアについて昔から気になっていることがあるんですけど、
それは
逆シャアの戦闘シーンはサイコーに素晴らしいのだが、
どこの語りを見てもいまいち言語化されてない」
ってことなんですよね。



「展開がスピーディー」「スピード感がある」「ロボット*1の動きがリアル」
などなどの表現はよく見るんですけど、いまいちはっきりしない。
具体的に、どこがどうだから、こんなにかっこいいのか?


我が教祖であるアニメ様はこう書いておられます。

戦闘シーンの描写については殺陣のつけかた段取りの組み方だけでなく、
敵味方のモビルスーツのギミックを次々に披露しながら、戦闘を進めていくのが見事だ。
モビルスーツが「よくできた便利な機械」である事を分かりやすく表現していると思う。

WEBアニメスタイル | アニメ様365日 第465回 アニメーションとしての『逆襲のシャア』


「殺陣と段取り」
さすがトーシロとは違います。表現が的確であられます。


このアニメ様の言葉にヒントを得て、
今回は逆シャアの戦闘シーンの素晴らしさを言語化すべく、
メリケン様のプレゼン手法をパクって3ポイントに分けて語っていきますよ。

(1)アクションが「殺陣」である

つまるところアニメ様の言われる
「殺陣と段取り」のパクリです。


(1)(2)(3)
例えば、このシーンでは
(1)アムロが中距離からビームを撃つ。
(2)シャアがビームを回避。
(3)その隙に、アムロが懐に入る。


という流れのアクションをしています。
(1)でアムロがビームを撃ったのは、
けん制しつつ距離を詰めるためです。
そのアクションが(2)(3)のシーンに繋がり、アムロ
見事にシャアの懐に入ることになります。
さらに(3)では、すでに次のシーンへのつながりが生まれます。
次の攻撃を繰り出すためのライフル射撃の妨害です。
この後、妨害を受けて一瞬の隙を見せた
シャアのライフルをアムロが破壊します。


このような一連の流れが時代劇を思わせる
逆シャア「殺陣」なわけです。
キャラの意図がにじみ出た細かいアクションが次々とつながり、
ひとまとまりの見せ場となっています。

余談ですが、上記のシーンのあとも「殺陣」は続き、
最終的につばぜり合いとなって、いったん区切りがつきます。
そして、その後はすかさず例のアレ。



「私、シャア・アズナブルが粛清しようというのだ、アムロ!」
「エゴだよそれは!」


富野アニメはなんでいつも戦闘中に議論するの?
という有名なイヤミがありますが、
逆シャアに至ってはその議論の仕方が限界まで洗練され、
もはや芸術美というしかない領域に達しています。
この「議論」が、
素晴らしい「殺陣」の合間にすかさず挿入されては、
富野フレーバーをまき散らしつつ、戦闘しながらも
ちゃっかりストーリーを進めていくという大変重要な役目を果たしており、
戦闘シーンだらけの逆シャアにはなくてはならない装置となってます。



ところで、同じサーベルのアクションでも、F91*2だとちょっと違って、
(1)(2)
(1)でサーベルを抜いたら、(2)で相手が切り捨てられて、
これははっきり2アクションに分かれてます。
逆シャアのような、牽制と本命攻撃を組み合わせた
複雑な殺陣はあまり見られません*3
このほうが視聴者としては一つ一つの出来事をじっくり追えるし
わかりやすいんでしょうけど、
逆シャアみたいな「乱暴なまでのスピード感」がない。(笑)
富野監督もF91では息切れしたのか、制作体制の不安定さのせいなのか・・
まあ、こういう演出のほうがアニメでは一般的だと思います。


もちろん、他のガンダムシリーズでも、ちょっと探してみれば
同じように殺陣マインドを感じさせるシーンは存在します。
というか、
ガンダム、あるいはロボットアニメというくくりに限らず、
バトルもののアニメを作るにあたって
見せ場のバトルで手の込んだ殺陣を組み立てる
というのは至極当たり前のことなのですが、
それにしたって逆シャアは2クール終わりの見せ場で出すような密度感の
殺陣がゴロゴロしてるのでやっぱり異常です。



(2)1シーンあたりでやってることが異常に多い

これはアニメ様の言われるところの
モビルスーツのギミックを次々に披露しながら、戦闘を進めていく」
と関連します。
ロボットをそのギミックを通してかっこよく見せるというのは
ロボットアニメの基本ではありますが、
逆シャアはそのスピードがとにかく速い、速すぎます。*4


これはたぶん、ビームサーベルなど
武装のマウント位置から、モビルスーツの基本的動きに至るまで
「ファンは以前の作品をふまえて見るだろう」という前提のもとにアクションが構築されているからなんだと思いますが、
このようなファン向けと割り切ったかのようなメカ描写の数々が
結果的に
ガンダムファンの目にも新鮮に映るハイスピード戦闘
を実現させているような気がします。


例えば、このカット。


ガンダムオタクから見れば
ビームサーベルを取り出しただけじゃねーか」
というだけの短いカットなのですが、
そのように違和感なく理解できるのはやはり「1stガンダムビームサーベルは背中にあった」
という知識があるからこそです。
かつて背中にあったサーベルが、今回は手首から飛び出すという
典型的なギミックシーンなのですが、
それにしても尺が短いです。
仮に非ガンダムファンの方にもわかりやすくするために尺を伸ばしたとすると
逆シャアのスピード戦闘はありえないわけで、
やはりこの短い秒数に詰め込まれたアクション密度の高さは
多分にシリーズ作品を見てきたファンの理解力に依存している
んだろうなあと。





こちらは、リ・ガズィが追加武装を捨て、分離ギミックを披露するカット。
ここもやはり尺が短いです。
それに加えて、リ・ガズィ武装を捨てざま、すぐに反撃に映っています。


さて、このように時間に比して多くのことをやってるカット(時間あたりで高密度)
のほかに、
同時に多くのことをやってるカット(静止画面で高密度)もあります。
例えばこれ。

ぱっと見で言えば「ロボットが銃を撃っている」だけのカットですが、
に言わせると
モビルスーツが射撃の瞬間に背中のバーニアで衝撃を殺してるんだよ!!」
という要素も見て取れるわけです*5



こちらも何の変哲もないカットですが、
「ザコロボが射撃をしながら突進してきている」という要素のほかに、
「盾で敵の射撃を防いでいる」という要素もあります。


まあ、シーン単位で見ると大したことないような気もしますが、
このような密度感が劇中すべての戦闘シーンにもたらされているというのは
本当にすごいことですし、
上で挙げたサザビーのバーニアを筆頭として
すべてのMSの方向転換、加速、減速、動作のたびに
MSの各部分に律儀なまでのバーニア描写がされており、
こういうバーニア関連の描写の執拗さには狂気すら感じます*6


そういうわけで、誰もが映像の内容を十分に理解できるかどうか?
という基準でいくと
多分にガンオタ(あるいは一定程度の濃いオタク)の理解力に依存している
逆シャアのスピード戦闘ですが、
ガンオタであるという壁を乗り越えてこの映像を見ることができたならば、
これはやはり素晴らしい戦闘シーンとして大変楽しめる事でしょう。


仮に視聴者がかつてのわたくしのような
ガンオタパンピー少年だったとしても、
「なんかよくわかんないけど速くてリアルでかっこいい!」
と問答無用で思わせるパワーがあると思います。

(3)アクションに説得力がある。

ここでいう「説得力」というのは「リアルなSF考証」のことではありません。
細かい点は矛盾があるが、ひとまとまりの作品世界としてはいかにもありそうだと感じさせ、
こまけぇこたぁいいんだよ!!」とかばってあげたい、愛してあげたいと
思わせる力、略して「コマ力(ちから)」です。


なんか富野監督の次回作で出てきそうな用語になってしまいましたが、
逆シャアにはこの「コマ力」が溢れているのです*7
よく言われるように、ガンダム「人型ロボットで戦争なんて非効率的」
というレベルのちょっと考えれば誰でも思いつく矛盾点をいくつも抱えていまず。
必然「コマ力」の発動をつねに求められているわけですが、
逆シャアでの演出・作画面での細かい気配りによる「コマ力」
たんなる言い訳のレベルをはるかに超え、
架空の戦場の空気感(もちろん実際の戦場の空気とは違うでしょうが)
をかもし出すほどの水準をもっていると思うんですよね。


まずはこれ。
逆シャアモビルスーツ戦では
某ゼー○ガンダムみたく「宇宙空間に浮きながら漫然とビームを撃ちあう」
なんてことはありません。
このシーンではリガズィもヤクトドーガも、
きちんと遮蔽物を使っています。


また、遮蔽物から出て身をさらす際には、
無防備にならないようダミーを放出してカバーしてます。



リガズィの射撃に対してわずかに後退して距離を取り、その後前進するサザビー
これも、敵MSに簡単には接近できないという「間合い感」を演出していて、
「いかにもありそう」と思わせてくれるいいシーンです。



後方からの援護射撃をもらいつつ前進するネオジオンモビルスーツ群。
筆者は「MSといえど、援護がなければ前進できない」という描写と受け取りました。



左は、敵に中距離まで詰め寄って目くらましのグレネードを放つケーラのジェガン
真ん中はブライトさんの「斉射、あと3秒!」のカット。
右は長距離移動用の支援ユニットを乗り捨てるギラドーガです。


どれも「宇宙世紀の戦闘のお約束」をさりげなく示してくれていて、
「こう動かなきゃすぐに死ぬんだよ!」というベテラン兵の声が聞こえてきそうな
良カットです。


ジェガンのグレネードは、あくまで目くらましというのがシブくていいですし、
これ以上近づいて接近戦となれば、ちゃんとライフルやサーベルに切り替えているのが
いかにもそれっぽい。
母艦の艦砲射撃のシーンは1stガンダムから連綿と受け継がれてきた
「ブライトさんの命令台詞だけでちゃっかり戦場の空気感を出す」お約束のカットですが、
「長距離ではまず艦砲射撃」という戦場の距離感の醸成に貢献してます。
ゲタを躊躇なく乗り捨てるカットも、
「会敵したらゲタは捨てる」という戦場の不文律を感じさせてシビれます*8

まとめ

はい、こんな感じで殺陣、密度、説得力という
3つのキーワードで逆シャアの戦闘シーンの魅力を言語化しようと
がんばってきたわけですが、皆様に伝わりましたでしょうか?
アニメ様の丸パクリじゃねーかとか言われると
摩擦熱とオーバーロードでアレしてしまうのでやめてください。
既存の逆シャア論壇になかったものが何かしら伝えられれば幸いです。

*1:ガンダムファン以外の方に配慮して、あえてこう書いときます

*2:同時期の、同監督、同じ劇場作品ということで取り上げてみました

*3:シーブック君が射撃戦から一気に間合いを詰めてサーベル・・とかちょっとやってるくらい。

*4:一応、カットの切り替えまでの平均秒数を記録してみたりもしましたが、所詮素人なので他のアニメとの差が分からず、数値的裏付けはアッサリ断念したことを付記。

*5:某フォロワーさんから華麗にパクらせていただきました。ありがとうございました

*6:これもどっかで読んだもののパクリです

*7:ただ、これは1stガンダムからの世界観の積み重ねがあってこそであり、ガンダム信者以外には厳しいとこだと思います。

*8:ゲタを敵にぶつけるカットもあり、そのへんの戦闘術の個人差みたいなのがまた楽しい

ガルガンティアの手描き/CGの融合ってかなりすごかったけどスルーされてません?

いや、気のせいならいいです(弱気)

毎度ワンテンポ、ツーテンポ、
スリーテンポ遅れくらいでお送りする
第三野球部もびっくりの弱小ブログですこんにちは。


今更ガルガンティアの話題です。
ガルガンティアといえば中盤
イデオンイデオンガンを忘れて逃げ出すほどの
グダグダじっくりとした展開を見せてくれましたが、
その鬱屈を晴らしてくれたのがアクション的にもストーリー的にも
激動の展開を見せてくれた12話でした。


原画陣はこんな感じ。

総作画監督佐々木敦子
作画監督:中村悟 堀元宣
作画監督補佐:石塚健 森田史 永島明子 折井一雅 石橋翔祐 千羽由利子 村山章子
原画:三木達也 角田桂一 宮崎瞳 玉城史郎 丹羽信礼 高橋靖子
    万年麻美 長谷川和世 手塚麻美 倉原昌宏 ねこたまや 福井麻記
    白井順 原山智 吉田徹 古川尚哉 新野量太 亀田祥倫
    荒木涼  UEC

ブログ主はエセ作画オタなので深入りは避けますが、
金田系作画の新鋭である亀田祥倫氏が参加されており、
ネット上でもヤマ場の戦闘シーンを担当されたのではないか?
と話題になってました。


アニメなブログ 雨宮哲と亀田祥倫


で、たんに金田系作画が炸裂したというだけならば*1
「たまんね」とか作画オタっぽいことをつぶやきながら
ぼーっと見ていればいいんでしょうけど、
ちょっと気になることがありまして。
何かといえば「作画部分と3DCG部分の融合が素晴らしい」
ってことなんですよ。
融合どころか、完全なる一体化といってもいいレベルに到達しているような。



この回ではビーム攻撃の応酬が続き、
3DCGのメカに手描きのエフェクトが重なるカットがかなり多いです。
まあ、完成品なんだから当たり前なんですけど
3DCGと手描きエフェクトの相互配置が完璧で、
まさに一体となって動いてます。

反動でメカが後ろに大きく後退するタイミングも完璧

3DCG自体もしっかり手描き風のタイミングで動く。指示用の原画があるのかな?


ド級の怠け者のブログ主ですので
こういう手描きエフェクト+3DCGのアニメはあまり見たことがなかったんですが、
少し前だとFate/zeroバーサーカーがかなり話題になってたみたいですね。


あと、金田系というか大張系というか、
フラッシュ的なエフェクトも目立ってました。

で、ここでも同じ話になるんですけど、
これらの伝統的な手描き作画のエフェクトが3DCGに重なって
活用されてることがエポックメイキング*2であることはもちろんですが、
何よりその前後の3DCGとほぼ完全に一体化していることが驚くべきところだと思うんですよね。


上に挙げたエフェクトでいうと、一番左はかなり省略されたものですので
極端なことを言うと当てずっぽでも挿入できそうですが、
中央と右のカットは前後のメカの動きと連動してるので、
原画マンさんがメカを含めて全て原画を描いたのち、
3DCGを原画の通りに配置するとか、少なくとも
原画マンさんと3DCGアニメーターさんが相当な打ち合わせをしないと作れない
のではないでしょうか?



3DCG部門と手描き部門の緊密な連携があったことの根拠はもういっこあって、
それは「メカが3DCGなのにちゃんと金田ポーズしてて笑える」
ってことです。




この回は全体的に遠目でのシーンが多かったのが残念ですが、
手足をピンと伸ばしてアクションするストライカーが笑えます。
ビームを避けるチェインバーのカットでは、3DCGにも関わらず
金田作画のような中抜き感があり、見ようによっては
短距離ワープしてるみたいで笑えますが、一連の流れで見ればかっこいい動きになってます。


これはやはり、原画でメカの動きがすべて指示されていて、
その金田テイストを3DCGアニメータさんが完璧に再現したとしか思えないのですが。
情報がないのでなんとも言えませんが。


とりあえず、まとめの前に、手描きと3DCGの融合の話題で、こんな記事を。
https://www.facebook.com/permalink.php?id=459913164060021&story_fbid=597708533575915

この映像で用いられているのは
3DCGのアニメに2Dのドローイングを重ねるという新技術だそうです。
3DCGでモデルを作り、アニメーション作成。作られたアニメーション映像を
液晶モニターに映し出し、今度は2Dアニメーターがその上に直接、輪郭線等を
描き込むという手の混んだ技法。


手描きとCGを融合させつつ、かっこいい・かわいい・美しい映像を
作ろうという動きは今まさに盛り上がってる感じですね。
ぼくは技術的なことはサッパリですが、
上に挙げたディズニーの例は、CGくささを感じさせないために
2D/3Dの親和度を上げるという
絵柄面の配慮であり、
今回のガルガンティアでの親和度は
2Dと3Dの動作タイミングを完璧にシンクロさせて、
一連の流れをアニメ本来の動きの快感として感じられる方向で
底上げされており、
動き面の配慮といえるんではないかと。*3


どちらの技術も大切とは思いますが、
ぼくは何より単なる技術の進歩だけでなく、
2D・3Dが連携してすごいもん作ろうぜ!という
スタッフさんの気概を画面に感じて楽しくなったのでした。
まあスタッフさんのくだりは腐女子の皆さんも真っ青の
スーパー妄想なんですけど。

おまけ(追記)

さらに妄想を上塗りしますが、
この記事で取り上げたような2D/3Dの融合技術って、
なんか素晴らしい新技術が導入されたというよりは、
2D/3Dが融合してるように見せるための
ごまかし方とかちょろまかし方が既存技術の範囲で発見され始めた
んじゃないかなーなんて思ったんですよね。ほら、アニメの発祥からして錯視なわけですし。


で、この話は根拠も一応ありまして、それが以下の数カットであります。

古めのネタで申し訳ないんですが、ガンダムユニコーン第1話の変型(変身)シーン。
全身のフレームが稼動するカットや、サーベルラックが動く背中のカットまでは
明らかに3DCGが使われているとわかります。

で、ブログ主の腐った目では見分けられないのですが
角を展開したガンダムの顔のアップか、もしくはカメラが引いていく
ガンダムが小さくなっていく)途中のあたりに
3DCGと手描き作画が切り替わる瞬間があるんですよね*4

そして、カメラが完全に引き終わり、ビームサーベルが抜かれたあたりでは、
サーベルのエフェクトや右腕のブラーっぽい描きこみ、全体的な線の引き方からし
(たぶん)手描き作画なんだろうなーとわかります。


このカット、実に上手にごまかしてるなーって感じですよね(上記の分析が当たっているとすれば)。


ボケーッと見てれば、どこが2D/3Dの境い目か、なんてことは感じずに
3DCGでプロポーション完璧な上にサーベルの抜き方は2D的ケレン味があってすごいなー
素直に感動することができるわけです。


けっきょく2D/3Dの融合とかいうお題目は
大層な合成技術とかそういうのじゃなくて、
このような手際のよいごまかし方、ちょろまかし方
素人の知らない間に解決されていくんじゃないかなーと。
もちろん、その作業には膨大な労力がかかるわけで
「ごまかし」という表現は適切ではないかもしれませんが、
大奇術もタネを明かしてみれば「な〜んだ」と言いたくなるように
意外と裏方で行われていることは原始的なのかな〜という妄想が
面白かったので書いてみました。(追記おわり)

*1:それも素晴らしいんですけど

*2:もはや常識になっててアホのブログ主だけが知らない可能性もあります

*3:代わりにメカの質感はCG丸出しという感じです。あえて狙った可能性もありますが

*4:なーんか今更なことを言ってる気もしますが・・