今こそ、あえて伝説すぎるアニメ『伝説巨神イデオン』を見よう!
ただ今萌えるデッドリーヴスことブラックロックシューターが絶賛放送中ですね。
皆さんご覧になってますか?
え?そんな二つ名聞いたことない?はい、今考えました。
ネット上では
日常シーンのスーパーポエミー空間に侵食され、
「今石パートは?今石パートはまだかぁ!?」
と耐えて待ち続ける方がいるかと思えば、逆に
「技術力がすごいのはわかったからよぉ!
イメージ映像で補完力フル活用な戦闘シーンはいつまで続くんだよぉ!?」
とバトルパートに精神やられてる方もいて
阿鼻叫喚です。
はい、あんまりやってると
ホントに怒られそうなのでもうやめますが、
どちらの犠牲者視聴者も
「あんまし興味のもてないパートは耐え忍び、好きなパートを待つ」
という点では共通しています。
そう、アニメはときに不条理に耐え忍ぶことも求められる
アングラでカウンターな文化なのです。
このような素晴らしい視聴姿勢を
「だったら見るな」とか言って茶化してはいけません。
やっと本題ですが、「耐え忍ぶアニメ」といえば
このアニメをおいては他にありません。
「伝説巨神イデオン」です。
帰らないでくださいね。
BRSは15分弱頑張れば、ゆるふわ萌え空間ないし
スーパー今石タイムに到達することができますが、
イデオンの場合はまず「冒頭13話1クールのほぼ全てを耐え忍ぶ必要がある」ので格が違います*1。
軽く説明を。
『伝説巨神イデオン』(でんせつきょじんイデオン、英表記:Space Runaway Ideon)は、
1980年5月に放送開始された日本のテレビアニメである。
…本作は宇宙に進出した2つの種族が不幸な出会いを果たし、
無限のエネルギー「イデ」を巡って
誤解を重ねて泥沼の戦いを続ける物語であり、
精神科学的な理論とバイオレンスな感性を融合した作品である。(Wikipediaより)
すごいですね、この説明だけで見事に見たくなくなります。
そんなアニメをなぜBRSの約26倍もの時間耐え忍んで見る必要があるのか?
答えは簡単、嫌がらせ面白いからです。
ブログ主も半ばおっさんですが、
学生時代にイデオンを見る前のイメージはこんな感じでした。
・メカがダサい ・作画がヘボい ・キャラが古くさい
・幼女がマミる ・なんか結末がヤバイ ・超アフロ
いやこれ大体あってるし
今若い人が見てもこう思うと思います。
ブログ主の場合は上のような
「どんなグロいシーンがあるんだろう」「どんな結末なんだろう」
という下世話な興味で視聴に至りました*2。
あと作画。
キカイダーごっこの遺産 - 批評家もまた批評さる*3
これは稲野サーカスと呼ぶべきなんでしょうか
イデオンは湖川氏ほか、名アニメーターさんが参加していますが、
基本的には板野サーカスだけ追っかけてればいいので
ぬるオタも安心です。
はい、ここまで読んでも皆さんは
「で、イデオンのどこがおもしろいんだよ?」
と思っておられると思います。
実はブログ主もよくわからないのです。
そう、富野アニメにありがちな「よくわかんないけど面白い」というやつなのです。
あえて言語化するなら、
完璧超人よりも少しくらい隙のある人間のほうが好かれるように、
「隙のあるアニメ」であるところが、なんとも面白いのです。
最近だと
「ガンダムAGEの武装バリエーションが少ないのではないか?」
というような話が巷を騒がせていますが、
イデオンに至っては14話のミサイル一斉射が登場するまでは、
必殺武装は基本的に素手です。
人間ドラマの重厚さが取り上げられたりもするイデオンですが、
作画の平均レベルが高いとは言えないのに加えて
今の目で見ると、マジモンの修羅場もコント風味に見えることもしばしばです。
天下分け目のビンタ合戦
大体主役ロボットのイデオンからしてパープーなデザイン。*4
監督をして
「イデオン自身が障害」「企画から間違っている」
と言わしめる破壊力で、シリアスシーンを
そのアウタースペースな風貌で良くも悪くもマイルド*5にしていきます。
・・・と、このように、
作品分析を言葉にすると、もはや少しの隙どころか
隙だらけに思えます。
しかし、そんな隙とともに
皮肉の利いた殺伐会話をしつつも生きるために必死な主人公たちの姿や
敵側の人間の愛憎入り混じった行動に
「ダメなやつらだなあこいつらは(嫌いじゃないけど)」と思わせる人間模様など、
スバラシイ面が顔をのぞかせてくるわけで、
話が進むにつれて、イデオンはだんだんと視聴者の中で
「出来は悪いけど輝くところもある可愛い子」
になっていくのです。
世知辛いご時世、アニメ作品の全ての要素に
商業的意味を求められる昨今ですが、
あえて今、
ロボットはパープーだし
毎回まいかい毎回オープニングでぶっ放してる必殺波導ガンは29話まで出ないし
キャラの殺伐会話は見る気を失せさせるしで
マーケティングもクソッタレもない伝説アニメを見て、
脳をカオスに浸して気分転換するのも悪くはないと思いますよ。