ニッチな作画ネタ3:ブレイク「以前」の磯光雄作画
お久しぶりです。
ニッチな話題を突いてアクセスを集め、
あわよくばアルファブロガーになってやろうという
私欲が凝り固まったニッチな作画ネタのコーナーです。
タイトルからして
磯氏の知名度にかこつけてアクセス数を伸ばしてやろう
という魂胆がミエミエです。
このヘッドライン詐欺!!
はい、すいませんでした。
でもでもアフィブログもゲハブログもみんなやってるんだよママ
本題
今回はアニメーター磯光雄氏のお仕事についてです。
すでに散々語りつくされてるのに、なんで今更磯氏?
って感じですが、いや、氏についての言説にも
まだまだニッチな要素があったんですよ!
磯って誰ぞ?という方は(いないと思いますけど)こちらをどうぞ。
磯 光雄(いそ みつお、1966年 - )は、日本の監督、アニメーター、脚本家、演出家。
…1990年代以後のアニメ作画シーンに確実に影響を与えたと評されるアニメーター。
メカ作画や、自然現象や爆発などのエフェクトアニメーションを得意とする。
…1989年のOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の第1話冒頭の
北極基地攻略シーンの原画によって業界内で注目を浴びる。
皆様ご存じのとおり、
ブレイク後の磯氏のお仕事については
ネット内でも注目度が高く、かなり語りつくされてます。
ですんでニッチを突いてアクセス数をかすめ取る当ブログは今回
「ブレイク以前」という切り口で攻めたいと思います。
ブレイク以前の参加作品
仮に『ガンダム0080』でのお仕事を「ブレイク」として設定すると、
「それ以前」として明確に言えるのはこのへんかと思われます。
■忍者戦士飛影(1985~1986) 原画 35話 40話
■マシンロボ クロノスの大逆襲(1986~1987) 原画 18話 38話
■ゲゲゲの鬼太郎[第3作](1985~1988) 原画 97話 99話 102話 104話
■機甲戦記ドラグナー(1987~1988) 原画 32話 36話 39話
(以上作画wikiより引用)
ゼオライマーや
(過去記事:とっつぁんの作った女 - 批評家もまた批評さる)
トランスフォーマーマスターフォース、
(参考リンク:http://09052563.at.webry.info/200808/article_2.html)
(過去記事:作画者には濃い餌を - 批評家もまた批評さる)
逆襲のシャア
(参考リンク:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア① : 泥があったら潜りたい。)
などなど
このへんの作品(1988〜1989)になると『0080』と時期が被ってきますんで、
もうこれは作風がある程度固まって「ブレイク中」の仕事ってことにしときます。
ブレイク以前の作画的特徴
ブレイク前の氏の特徴としては
ブレイク以後につながってるっぽい特徴と
別人じゃないの?ってくらいつながらない特徴と二つあって、
もちろんつながりのある方について書くと磯研究的にはよいのでしょうが
つながらない方の特徴が面白すぎて言いたくてしゃーない
のでこっちを書きますすいません。
つながらない方の特徴とは
手、オバケ、山下系作画
の三つです。
手
(※『ゲゲゲの鬼太郎(3期)』102話)
まずはやけに力強くてデッサン課題みたいなポージングの手が特徴的。
稲野義信氏の影響のようです。
この手単体でもおもしろいんですけど
磯氏の仕事か否かの判別のさいにも非常に役立つんですよね。
以下は実践していらっしゃる方の例。
機甲戦記ドラグナー#4 : 泥があったら潜りたい。
特に手の描き方なんか見ると、80年代の磯さんの特徴が結構出てますね。
(※『機甲戦記ドラグナー』での磯作画について)
そう!そうなんですよ。
ブレイク前の氏の作画も見ていてとっても面白いのですが、
『ガンダム0080』や『エヴァンゲリオン劇場版』
のような1シーン丸ごと異空間
というほど特徴が出てるわけでもないので、
「この手の形が!」とか「線の引き方が!」とかっつって細部に注目しだすと、
だんだん骨董鑑定会みたいになってくるんですよね。
いや、それももちろん楽しいんですけど。
オバケ
動きが速くて形がはっきりしないものや、速さを表現するための残像効果的な絵のこと
これは『鬼太郎』で顕著な特徴。
ギャグ感やコミカル感を出すためなのでしょうが、
ちょっとやりすぎじゃねえのかってくらい使われてます。
(過去記事:狂気のオバケ・マークISO - 批評家もまた批評さる)
でも確かに少ない枚数でよく動いているように見えるので、効果は上がってると思います。
で、なんでこの時期オバケが多用されてるのか
の答えになるかもしれない氏の発言がこちら。
(※『オトナファミ』08年3月号の2chへの転載の転載)
― 絵を描くのは得意だったんですか?
磯「小学生の時に始めたパラパラ漫画を、高校生になってからも受験帰りとかに描いたりしてましたね。
絵が動けばそれだけで面白くて。だから下地は業界に入る前からありました。
人から教わったり、無理してやってたんじゃないのがよかった。」
磯「でも、プロになってから原画と動画を分けるって方法がまったく出来なくて。
業界の手法と自分の手法の接点を探すのが大変でした。
だから自分のスタイルはプロになってから発見したんです。でも、いまでも絵を飛び飛びに
描くっていうのが出来ないんですよ・・・いや、この話はスタッフに聞かれるとマズいな(笑)」
ご存じのとおり、ブレイク後は
「フル3コマ作画」という面妖な技法を身に着けた氏ですが、
そこに至るまでの手法の模索の一つが、オバケだったんじゃないかと思うんですよね。
ちなみにさっきの定義でいくと「ブレイク中」「ブレイク以後」の仕事になっちゃうんですけど、
『ファイナルファンタジー』や『ワタル』でもオバケやってます。
なら「ブレイク以前」に限った特徴じゃねーじゃん
って感じですけどそのへんは目をつぶってください。
「ブレイク以前」に顕著で「以後」はオバケが少なくなるって結論でなんとか・・
山下系作画
(※『マシンロボ』18話)
ブレイク後は「磯作画」ともいうべき新ジャンルを開拓した氏ですが、
ブレイク以前の作画*1はコテッコテの山下系です。
ワカメ影や強烈なパースのついたプロポーションもそうですが
動き自体も見事に山下系なので、
作画シロートの自分には
「他の山下系なアニメーターさんの仕事と混じって判別がつかない!」
という作画判別地獄を味わわせてくれます。
いや、でもこれ、冗談抜きで判別難しいと思います。
山下系と毛色の違う磯系な作画キタ!
と思ったら重田氏の作画だったりして
赤っ恥トラップ敷設されまくりです。怖いです。
(※『ドラグナー』36話)
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア① : 泥があったら潜りたい。
先日ツイッターで橋本敬史さんが、重田さんが磯さんのエフェクトの師だという話もある、
という旨を仰っているのを見て、すごく納得できました。
わしゃどっちが描いたんだかさっぱりわからんよ
ただ、つながらないと書いといてアレですが、
山下系作画とブレイク後の作画には
途中の絵を抜いたような飛び飛び感(躍動感)という
共通点もあるんで、まるっきり無関係とは言えなさそうです。
まとめとおまけ
磯氏の作画については他にも
各パーツが立体として描かれている点とか色々特徴があるようですが、
まとまらないのでこのへんで。
さて、「ブレイク以前」の磯作画はどうなのか?
についての結論ですが、
べつに普通ってことでいいと思います。
『忍者戦士飛影』は、山下成分が強く、判別すら難しいレベル。
『マシンロボ』は立体パーツやフル3コマのパカパカ感の黎明期
って感じで見る価値はある程度アリ。
『鬼太郎』は、オバケがひじょーに強烈なので面白いですが、
ほとんど別人の作画。典型的な「磯作画」としては楽しみづらいかも。
『ドラグナー』は、(自分が未熟かもですが)『飛影』と同じく、
判別はかなり難しい。
ただ、同時参加の重田氏の作画が磯氏に影響を与えたのだろうか?
とか考えながら見ると面白い。かも。
ただし、いずれの作品も、ブレイク以後のような問答無用の集客力はないけど
ブレイクに至るまでの道のりが作画の端々から感じられるという点では
どれも磯さんファンは見る価値あると思います。
しかしまぁアニメーターさんの仕事について
若いころはどうだとかブレイクしてからはどうだとか偉そうに書いてるので
何様だよオマエって言われそうですね。
アニメ様だよ文句あるかって言えればよかったんですけど
残念ながらブログ主は一介のクソオタクです。
あとおまけの過去記事。