必殺森ニンゲン見参
「銀色の髪のアギト」
キャラデザ:緒方剛志
総作監:山形厚史
作監:恩田尚之 小原充 後藤雅巳 市川敬三
福島秀樹 柿田英樹
エフェクト作監:増尾昭一
原画:恩田尚之 柿田英樹 瀬尾康博 etc...
実に一年遅れで視聴。
一つ一つのエピソードが短くて食いたりないというのがまず一つ。
主人公のアギトが、ヒロインを救うために森の力を持った超人「強化体」
になるくだりなんかは、本作の重要シーンの一つだと思うのですが、
アギトは森に行って森の主とちょこっと問答した後、
一瞬にして覚醒。森の主、許可出すのはえーよ(笑)
アギトが強化体になるため森に行ったと知ったとき、
あるキャラが泣いたりしてますし、最終的には森と同化して
木になってしまう、ということも描写されてますから
強化体になることが悲劇であることは間違いないと思うんですけど、
同じく強化体のおじさんが普通に近所で暮らしてたりして
なんだかよくわからない(笑)。
個人的には人でないものになってしまう強化体への変身の悲しさを
もっと描いてほしかったです。
銀色の髪になることがもっと悲愴に描かれたり、人間のままでいたいと
アギトが迷ったりすれば面白くなりそうなのになぁ。
さて、期待のアギトが強化体になってからの初戦闘はというと・・。
あっという間に終わります。
- 予告編で流れてシビれたICBM投げ
- 煙の中から現れ・・タメてタメて・・手刀一閃!
ターンエーといい、手刀はいいですねえ(笑
この戦闘シーン、作画的には最高にいいんですけど、
いかんせん短すぎるっ・・
なんたって二機いた巨大メカをICBM投げで一機、手刀で一機やっつけて
終わりですからね。
大体、手刀がメカの各階層をブチ抜いていくところで中の兵士たちが
驚いてるくらいで、他に強化体のすごさに驚く奴がぜんぜんいないのが不思議。
「ICBM*1を跳ね返しただと!」
「なんだあの動きは!」
「信じられん・・デウス・エクス・マキナが一撃で・・」
・・すいません。趣味が入りました。
とにかく普通のアニメなら絶対にいる「驚き役」がいないのです。
そういう役がいないとじつに物足りないもんです。
敵ボスとの戦いも、格闘をちょこちょこっとやって終わりでした。
- 敵の頭を軸にして顔に二段蹴りを食らわす
格闘自体は動きもすばらしくていいんですけど、そこで終わりというのが・・
敵ボスが大技を出して、絶体絶命!そこで主人公も最後の策を・・
みたいなのがベタだけどいいと思うんですけど。
この戦闘の短さはなんなんでしょ?バトルに重点を置いてない映画なんだろうか。
これは、やはり尺が足りないというのが理由なのかも。
上映時間95分でいろいろやりすぎたということかな。
尺を得るためにどこを削るか?を考えてみます。
1:決戦の場をイスタークでなく軍事都市ラグナにする。
ラグナからイスタークへの移動がせわしいし、ラグナという機械都市を
もっと舞台として活用すればいいんでは。
ラグナとイスタークの戦闘も削られてスペクタクルには欠けるが、
その尺をアギトのがんばりに回せる*2。
代わりのスペクタクルとして森とラグナの激突というのもいいかも。
2:ゾロイドはいらない。
森の尖兵らしきゾロイドが生かされてなかったので、いっそ削る。
森からの脅威は木の竜のみとする。
3:知り合いの強化体のおじさんもいらない。
強化体がらみで生かせそうだけど、尺を考えて削る。
と、いろいろ挙げてみましたけど、結局は外野の素人の言うことなので
意味はないです。
なんだか批判ばっかりしていますが、自分はこの作品が
ふしぎと好きです。
主題歌もそうですが、何より緒方・山形両氏の手になるキャラクターがすばらしい・・
というか、大好き(笑)。自分の好みのドツボです。
緒方氏のブギーポップ絵とかにはとくにときめいた覚えはないんですけど、
山形氏の手を経てちょっとジブリっぽいアニメ絵になったのがその原因か。
予告編はすばらしい出来だったんだけどなぁ・・*3。
主題化がサビに来て、上述の手刀一閃!の直後、
「すべての力が、今、つながっていく。」のキャッチ。さ、さいこおおお
でも本編では何もつながったりしませんでした(笑)
アギトが最後にそれらしきことを言ってたけど・・実感ないなあ。
本作は自分の心の宝石箱にそっとしまっておきます。