映画批評・原恵一の2 戦国大合戦

次は恐竜キッズだーと言いつつ、どうにも殺陣が見たくなって
戦国大合戦をレンタルしてしまう。さすが遊びでやってるブログは違う!orz

注意:ネタバレすると非常に影響のある映画なので、できる限りネタバレはせず、
さらに該当部分は注釈にします。
まだ見たことない方は見てから読んでみてください。なるべく。


以前に見たことがあり、原氏の演出意図なども本で読んだので、
やはり今回目が行くところはストーリーの大枠とラスト近くの*1の関係。
子供向け映画だから、あえてああしなくても、という意見もあったというが、
原氏はどう考えても映画としてそのほうが良くなる、と考えてあのようにしたらしい。
(『アニメーション監督 原恵一』参照)。
原氏のこの考えを念頭において見てみると、件のシーンでの又兵衛の台詞がまた違って聞こえてくる。
しんのすけの役割を、単に*2を防いだというものではなく、*3という扱いにすることで、
しんのすけの役割が明確に終わったことが映画のラストで感じられるようになり、
しんのすけが都合よくタイムスリップし、無事に現代に帰るという展開にも整合性が生まれている。
現実離れした要素を盛り込んで子供向けエンターテイメントとしつつも、物語の展開には
できるかぎり説得力をもたせようとする原氏の姿勢が見える。


と、いうように批評めいたことも書きましたが、最初に書いたように
単に「クライマックスの又兵衛と太郎左衛門の殺陣が見たい」というのも大きかったわけです。
いやー、やっぱりいい。納得できるリアルさを持った斬り合いの流れ、
崩れつつも気迫を感じさせる作画、扇状に描かれ表現された刀の残像。
それと、BGMの力も大きい。
ラストを知っている身としては、ラストの切なさよりもむしろこのシーンでぐっときました。


このことに関連して、どうも演出とか脚本とかのことを意識しすぎて、
ラストで泣けなかったということがあります・・。
件のシーンでも、*4のすごさに目が行ってしまって、どうにも感情移入できなんだ。
冷静すぎるのも困りものですなー;

*1:銃声

*2:又兵衛の死

*3:又兵衛の死期をずれ込ませ、彼に国を守る猶予を与えた

*4:腕が力なく落ちるとか、目のハイライトを無くすとか、目玉が上に行くとかの迫真の表現